フル電動自転車の改造という場合、フル電動自転車そのものに改造を加えるケースと電動アシスト自転車(電動ハイブリッド自転車)に改造を加えてフル電動の自転車にしてしまうというケースが考えられるようです。後者の場合、「フル電動自転車への改造」と言えましょうか。
フル電動自転車を改造する とは
自転車の改造というと一般的には、自転車の様々な部分の改造が考えられるわけですが、ことフル電動自転車に限って言えば、「リミッターをはずす」という行為をもって「改造」と称するといっても良いと思われる現状にあります。リミッターをはずす行為は別名、リミッター解除とかリミッターカットなどと呼ばれています。
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リミッターとは、いわゆる速度制限装置のことで、電動モーターの回転にリミット(上限)を設けて、安全走行と電動装置まわりの保安を保つためのものです。ですから、これを解除してしまうことはけして望ましいことではありません。リミッターカットによるバッテリー(電池)及び本体への影響が安全走行を阻害する恐れは大と言えます。
さて、当サイトはリミッターカットの是非を問うことが本来の目的ではありません。リミッターカットの対象となる「フル電動の自転車」の存在を問題としています。電動力が人力のアシストをして快適な走行をもたらすという、オール人力の自転車の延長線上の成果にはすばらしいものがあります。
しかし、これが フル電動=オール電動 となってしまった場合、これはあきらかに自転車ではなく「電動力二輪車」に他なりません。道路交通法上では原動機付自転車と言えます。そしてここでの問題は、フル電動自転車が電動アシスト自転車の感覚で購入されて普及し、原付車の扱いがされず、またはその意識がないままに、原付車での公道走行に求められる要件を満たさないままに使用されていることにあります。したがって、前述のリミッターカットという行為自体、原付車での公道走行に求められる要件をより阻害するという位置付けとなるわけです。
フル電動自転車の普及がなければ改造という欲求も存在しなかったはずです。普及自体に異を唱えるものではありませんが、普及の結果、道交法上の問題が浮上するということは、その普及のさせ方に問題があったのではないかと思わずにはいられません。そして、その焦点は「販売のあり方」にあったのではないかと思います。
電動アシスト自転車の長きにわたる普及の中、メーカー間のOEMによるコストダウンの仕組みが熟成してフル電動自転車にもこれが適用され、メーカー・販売店としても、通販で、あるいは店頭で激安を売りにする状況にあります。価格競争が進む中での販売競争となります。免許やナンバープレートがいらない電動アシスト自転車の手軽さを求めるユーザへの売り込みが売上獲得の焦点となり、購入後は「自己責任」でといったスタンスがまかり通っているように思えてなりません。
法を遵守する限りにおいて、フル電動自転車はけして違法な乗り物ではありません。問題は、「法を遵守出来得ない状況のユーザ」と知って、そこに普及を試みたことにあります。フル電動自転車の日本のおける普及拠点が商売の町・大阪であったことが普及のスピードに拍車をかけた要因であったかも知れません。大阪での仕入先は主に中国であると言います。進行する大気汚染にはかっこうの電気自転車が自由に乗られているのが中国であるとのこと。しかし、ここは日本です。日本におけるフル電動自転車の今後について考えたいと思います。